MSAの鼻形成のこだわり

監修医師

モレロ オースティン誠

MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠

略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院

所属学会
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
日本美容皮膚科学会 正会員

鼻先(鼻尖)

ドクターズコラムの第3号。

今回はMSAの鼻形成のこだわりポイントの「鼻先(鼻尖)」について記載します。

MSAで考える鼻

鼻はお顔の中心あり、形の個人差もすごく激しく出るパーツとされております。他のお顔のパーツとのバランスも重要であり、変わりすぎると不自然になったりもします。他にも鼻は感情表現をする一つのパートだとも思っております。ムッとしたり、笑ったりするとお鼻(小鼻)の形は変わりますし、お顔の角度によっても見える部分も変わってきます。非常に面白いパーツなのです。

さて、他の霊長類に比べて、鼻が発達しているヒトですが、形に関して様々な説があります。

一つは、乾燥した地域や寒冷地帯での生存において、吸い込んだ空気が肺に届くまで湿らせるために、高くなったり、複雑な内部構造をしているという説です。しかし、これには否定的な研究があったりと、はっきりとはしておりません。

他には、木から降りて進化しヒトが生存のために「歩くこと」そして「持久走をすること」を選択し、それに強い個体が生存した、または進化したという説です。他の霊長類と比較して、長距離を長い時間走り続けることが得意なヒトですが、その呼吸機能をサポートするために発達したという説ということです。しかし、これだと全員が鼻高くなっていることが必要ですし、そもそも持久走の時、口呼吸がほとんどのため、この説もはっきりとはしません。

これだけ、鼻に関する進化の説がありますが、人種、地域、性別(ホルモン)でも形態が大きく変わることから、おそらく様々な要因がぞれぞれ地域によって進化してきたということは間違いないでしょうが、何が正解かははっきりとはしておりません。

見た目に話を戻します。

「鼻を高くしたい」、「鼻をシュッとさせたい」などという希望をよく聞きます。しかし、どの鼻形成術でも、ほとんどの場合主役となるのが鼻先(鼻尖部)です。鼻筋と小鼻をつなぐ部分ともなっており、違和感の無い自然な形へと導くためには、鼻尖を整える場合が多いです。

その鼻尖部を考える上で、すぐに出てくる選択肢が、「軟骨移植」「脂肪除去」「糸結び」ですが、MSAではそれ以上のことを考えて行います。

そこで、鼻尖形成のためにMSAでこだわっている部分から2つをピックアップして紹介します。

MSAの鼻形成のこだわり(1)Pitanguy Ligament

MSAの鼻形成全般の特徴として、語らずにはいられないのがPitanguy ligament(真皮軟骨靱帯)です。下図1(引用1)の黄色の部分とその奥にある組織です。この組織は鼻先の安定性を保つために重要であるが、さらにはNasal envelope(鼻の皮膚などを含めた軟部組織)の完結性を保つ上でも重要な組織とされております。また、美容面でも重要な要素であるsupra tip break point(下図2(引用2)白矢印の鼻先の上にある、自然なくぼみ)を形成するために必要となります。文化的な好みもあるかもしれませんが、このsupra tip break pointですが、日本の鼻形成ではあまり重要視されておりません。そのために、異常にシュッとしすぎた、真っ直ぐすぎる鼻形成術が発展したところも多いですが、最近は少しずつ考えが改まっているようです。

これまでの従来の鼻形成術では、軟骨を入れて高くしたり、縫合をすることで細くしたり、組織を切除して小さくしたりと、構造的(Structural)な介入をすることで鼻の形を変えてきました。もちろんこれは今の鼻形成の基礎ともなっている考え方ですが、術後の様々な合併症(Pollybeak deformityを生じたり、鼻先の位置が変わったり、鼻先が折れてきたり)に、Pitanguy ligamentを含む、様々な鼻の靱帯組織が深く関わっていることが知られていきました。

そこで、2015年頃から再び注目されたのが(19世紀頃からある概念)、温存的(Preservation)鼻形成です。Preservation 鼻形成を簡単に説明すると、 軟骨を立てたり、縫合技術を駆使したりという部分ではこれまでとStructuralと同じですが、Pitanguy ligamentを含む様々な支持組織・骨・軟骨をなるべく温存して鼻の形を作り上げるというものとなります。もちろん、どうしても足し算・引き算が必要な部分はあるため、完全なpreservation鼻形成というのは難しいため、それぞれが癒合したHybrid 鼻形成が現実的な考え方となっております。

簡単に表現しますと、何でもかんでも切ったり・付けたりするわけではなく、どうしても必要なものは取り去る、どうしても加えないといけないものは付け加える、そういう考えです。

日本においては、「鼻先が丸い=鼻の脂肪」が多いという考えが定着していたため、鼻先にある脂肪と共にPitanguy ligamentが除去されていたというのが多かったと推察します。また、おそらくですが、そのために仕上がりの段階でpollybeak deformityになったり、鼻先が潰れたりしたこともあり、その多くは「ダウンタイムの個人差」ということで済まされていたかもしれません…。

MSAでは、Open法でもClosed法でも、Pitanguy ligamentを温存した鼻形成を実践しております。国内でもこの手法を取り入れている美容外科は非常に少なく、そもそも「Pitanguy ligamentって何?」と言うのがほとんどの美容外科です。沖縄県内でPitanguy ligamentを意識した鼻形成術を提供しているのは、MSAのみです(2025年4月現在)。

Open法では、最後にお鼻を閉じる際に移植した軟骨をPitanguy ligamentで包むように再建します。このことで、血腫や炎症が長引くことによる形成されるPollybeak deformityを最大限予防することができます(完全ではありません)。また、Nasal envelopeが鼻先にしっかりと根付くことを手伝いますので、長期的な形の安定性にも関与します。Closed法では、Pitanguy ligamentに対する侵襲を最小限にとどめた「Pitanguy window」の考えに基づいて施術をしております。従来のclosed法よりも施術時間が10〜20分ほど長くなることもありますが、これも鼻の形の安定性のためには不可欠と考えておりますため、必要な工夫として取り入れております。

MSAの鼻形成のこだわり(2)Resting Angle

MSAの鼻形成の特徴として、もう一つ語る必要があるのが、大鼻翼軟骨の外側脚と外側鼻軟骨の交わる角度(resting angle)です(下図参照 引用2)。これは鼻尖の向きや、上述のSupra tip break point(鼻尖の上にある自然なくぼみ)の調整、そして俗に言われる団子鼻の改善に必要な概念です。

団子鼻治療で、「軟骨を糸で結んだら小さくなる」考えがあり、これは間違っておりませんが、それだけでは足りない場合が多いです。Resting angle(上図の赤の軟骨と青の軟骨の交わる角度)の改善をすることを考えずに、ただ糸で結んでも意味がありません。Resting angleをより理想的な角度にすることで、鼻先の丸さおよび向き、自然な影も現れるようになり、鼻筋から自然と鼻先へとつながります。Resting angleの修正のためにMSAでよく使われる縫合はKovacevic sutureと、Gruber sutureとなります。しかしそれだけだと、鼻先が上に向きすぎること、高さが出にくいこともありますため、必要に応じて軟骨移植も組み合わせております。

複雑な山と谷の組み合わせにより、光が当たる部分と影が当たる部分とで魅力的な鼻となります(参考文献3)。しかし、個人個人の好みもある中、「これが正解!」というものはありません。MSAでは、なるべく元々の組織を温存しながら、お顔の他のパーツと合ったお鼻を意識しながら、鼻先の細かい光と影の部分までの提案をすることで、患者様の最適解を見つける努力をしているのです。

当院での施術の症例画像の1例です(治療前・治療後1週間)。鼻先の適正な向き、細さ、鼻口唇角などが整っております。鼻形成(鼻尖形成・コルメラストラット・シールドグラフト・鼻柱形成)リスク(内出血・腫れ・感染など)。

引用文献

1) Jeffrey Lisiecki, MD, Michael Chiodo, M, Matthew Novak, MD, Sebastian Cotofana, MD, PhD, Rod J. Rohrich, MD : Pitanguy Ligament Preservation in Structural Precision Rhinoplasty, Plastic and Reconstructive Surgery, 155: 504e, 2025

2) Barıs¸ Çakır, MD; Ali Rıza Örerog˘ lu, MD; and, Rollin K. Daniel, MD : Surface Aesthetics in Tip Rhinoplasty: A Step by Step Guide, Aesthetic Surgery Journal2014, Vol. 34(6) 941–955

3) Toriumi DM. New concepts in nasal tip contouring. Arch Facial Plast Surg 2006;8:156–185

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