「お気軽にご予約を」ではなく、「お気軽にご相談を」

監修医師

モレロ オースティン誠

MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠

1989年、アメリカ生まれ。10歳より沖縄で育つ。日本とアメリカ、双方の文化や価値観に触れてきた経験を生かし、患者様一人ひとりが持つ異なる美意識や希望を尊重した診療を大切にしています。日本語・英語の両方で診療を行い、国内外の知見を取り入れながら、自然で長期的な美しさを目指した美容医療を提供しています。大手美容外科にて約8年間、美容外科・美容皮膚科診療に携わり、2024年にMSA美容外科を開院。

略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院

資格・所属学会
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
The Rhinoplasty Society 海外会員
American Academy of Cosmetic Surgery(AACS)正会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員

本当に悩んでいる?

8月15日、14時からリフト施術のカウンセリング予約がありました。事前の相談内容には、「11月までには回復したい」との記載もありました。

時期の希望まで具体的に書かれていれば、こちらとしては当然、「それならこの時期には診察をして、施術内容を決めておいたほうがいい」と考えます。

「もう8月なので、ここまでには施術を受けないといけないとはっきり伝えなくちゃ」
「でも、急かせるわけにもいかない。考える時間も与えたい。」

などと色々と事前に考えているのです。

ところが、14時になっても来院されない。14時15分になってこちらから電話をかけました。

「MSA美容外科の院長のモレロですが、⚪︎⚪︎様のお電話番号でよろしかったでしょうか?」

「はい」

「本日、14時からリフト術のカウンセリングのご予約がありましたが、間違いなかったでしょうか?」

「。。。」

「⚪︎⚪︎様〜」

「あ、あ、あ、仕事が急に入って……」

これは完全に忘れてましたね。そして「予約変更できますか?」とのこと。うーん。

「次回は、確実にカウンセリングに来ることのできる日でお願いします」とお伝えすると、

「また改めて連絡します」との返答でした。

ここで、思うことがあります。

そもそも、本当に治療をしたいと思っていたのでしょうか

もちろん急な仕事が入ることもありますし、予定が変わることもあります。ただ、本当に自分が受けたい治療であれば、少なくとも予約そのものを完全に意識から外してしまうこと、完全に忘れることはないでしょう。

しかも今回は、「11月までには回復したい」という具体的な要望がお電話予約の段階でありました。こちらはその希望を聞いて、治療時期は間に合うのか、ダウンタイムを考えるといつ施術すべきなのか、診察は早めに受けたほうがよいのではないか、と色々と考えています。

しかし、ご本人にそこまでの本気度がないのであれば、こちらだけが真剣にスケジュールを考えていても仕方がありません。

美容医療は、こちらからお願いして受けてもらうものではないです

「顔を若返らせたい」「たるみを治したい」「今年中にやりたい」と考えている方はたくさんいます。

でも、やりたいと思っていることと、実際に治療を受ける気持ちがあることは別です。

本当に治療を考えている人は、診察の時間を作り、費用を確認し、ダウンタイムを考え、仕事や家庭の予定を調整します。そして予約した日時に来院する。少なくとも、そこまでして初めて治療について具体的に考える段階に入るのだと思います。

逆に、「興味はある」「そのうちやりたい」「とりあえず話だけ聞いてみたい」という段階であれば、それ自体はまったく問題ありません。ただ、その段階で無理に医師の診察枠まで押さえる必要はありません。メールやLINEでご質問ください。

ここで、当院が大切にしたい言葉があります。

「お気軽にご予約を」ではなく、「お気軽にご相談を」です。

相談するときは、どうぞ気軽にしてください。こんなことを聞いていいのかな、と遠慮する必要もありません。費用のこと、ダウンタイムのこと、自分には何が合うのか、本当に施術を受けるべきなのか。気になること、聞きたいこと、言いたいことは、できるだけ全部お話しいただきたいと思っています。

ただし、予約を取るときは真剣に。

予約とは、「その時間に行けたら行く」というものではありません。その時間に来院することを前提として、医師やスタッフが時間を確保し、ほかの患者様を入れずにお待ちしています

相談することのハードルは低くていい。でも、予約そのものまで軽く考えてほしくはありません。

そして、本日(8月16日)も、また一人 … 。

そして、本日8月16日。10時から、シリコン豊胸のカウンセリング予約が入っていました。

ところが、10時になっても来院されない。10時を過ぎてもご連絡がない。事故などではないか、心配ですね…。

10時15分にお電話、10時20分にメール、10時50分にはLINEをしましたが、全て応答なし…。しかも、この日は通常の診療日ではなく、このカウンセリングのためにスタッフにも休日出勤をしてもらっていました。

もちろん、患者様から見れば「カウンセリングの予約をひとつ取った」という感覚なのかもしれません。

しかし、クリニック側では、その一件の予約のために医師の時間を確保し、スタッフの勤務を調整し、場合によっては休日であっても出勤してもらっています。

その時間には、当然ほかの患者様の予約も入れていません。

それでも、何の連絡もなく来院されない。

急な体調不良や、ご家族の事情、仕事上どうしても外せないことが起こることはあります。

それは仕方のないことです。問題なのは、来られなくなったことではありません。

来られないと分かった時点で、一本ご連絡をいただきたいのです。

電話でも、メールでも構いません。

その一言があるだけで、こちらも対応できます。

スタッフを休日に出勤させる必要がなかったかもしれない。
別の患者様をご案内できたかもしれない。
医師も、その時間を別の診療や仕事に使えたかもしれない。

予約というのは、単にスマートフォンの画面上に入っている予定ではありません。

その予約の向こう側には、その時間のために動いている人がいます。

美容医療だから、無料カウンセリングだから、行かなければそれで終わり。

そういうものではありません。

当院としても、相談の段階から患者様に重い責任を求めたいわけではありません。

悩んでいるだけでもいい。
まだ施術するか決めていなくてもいい。
話を聞いた結果、「やっぱりやめます」でもまったく構いません。

ただ、予約を取った以上、その時間だけはお互いに約束として扱っていただきたいと思っています。

美容外科は、患者様自身の協力も必要な医療です

美容外科の施術は、すべてを医療機関や医師に任せておけばよいものではありません。安全に治療を受け、きちんと経過をみていくためには、患者様自身に守っていただかなければならないこともたくさんあります。

術後の経過観察に来ていただくこと、必要な期間テーピングを続けること、処方された内服薬を指示どおり服用すること、飲酒や食事、運動などの制限を守ること。施術によって内容は異なりますが、こうした患者様側の協力があって初めて、治療は最後まで成り立ちます。

多少の遅刻であれば、誰にでも起こり得ることです。しかし、予約そのものを完全に忘れていたとなると、話は少し違います。

予約を守れないということは、治療後の指示や通院についてもきちんと守れるのか、という不安につながります。

美容外科では、患者様のコンプライアンス、つまり医師から説明された注意事項や術後管理をきちんと守っていただけるかどうかも、安全な治療を行ううえで非常に重要です。

予約を忘れるほど治療への意識が低い状態で施術だけを受けてしまえば、術後の通院を忘れる、内服を自己判断で中止する、禁止されていることを守らない、といったことが起こる可能性もあります。

そういう意味でも、私たちは単に「無断キャンセルだから困る」と言っているわけではありません。

その時点で治療に対する準備ができていない方に施術をすること自体が、場合によっては危険なのです。

美容外科は、医師だけが頑張れば成立する医療ではありません。医師と患者様の双方が、それぞれ守るべきことをきちんと守って初めて、安全な治療につながります。

大手美容外科と、当院では「一つの予約」の重みが違う

こうした「無断キャンセルでもまあいいか」という感覚は、実は大手美容外科ではそれほど珍しいものではありません。

私自身、大手美容外科に約8年間勤務していましたが、当時は1日の予約のうち、体感として15%前後が無断キャンセルという日もありました。そのため、予約をある程度多めに入れて、キャンセルが出ることも前提にしながら診療を回していく。そうした経営方針に従わざるを得ない部分もありました。

しかし、開業してからは運営も医療も自分で決めております。

当院では、大手のように多数の患者様を短時間で次々と診るのではなく、一つひとつの症例に時間をかけて向き合っています。そのため、無断キャンセルをされる方自体は以前と比べてかなり少なくなりました。

ただ、その分、一つの予約枠の重みは大きくなっています。

限られた人数のスタッフと医師が、その患者様のために時間を確保しています。その枠が突然空いてしまっても、直前では別の患者様をご案内することはなかなかできません。

大手であれば「一人来なかった」で吸収できることでも、小さなクリニックでは、その一枠がそのまま大きな損失になります。

だからこそ当院では、予約の数を増やすことよりも、本当に来院する意思のある方のために、きちんと時間を確保することを大切にしています。

じつは、無断キャンセルにはある程度の「傾向」があることが、医療分野の研究でも知られています。特に、過去の無断キャンセル歴は、その後の無断キャンセルを予測する重要な因子の一つです。また、受診の必要性を本人が十分に感じていないことや、ほかの予定の優先順位が上回ることも、予約を守らなくなる背景として報告されています。

当院では、その傾向が見えた段階で、以後の「予約受入停止」とさせていただいております

厳しく聞こえるかもしれませんが、罰金を請求するクリニックもある中、かなり温和な対応かと思います。

限られた診療枠を、本当に来院する意思のある患者様のために確保する責任がクリニックにあるため、必要な対応だと考えています。

そういう意味では、無断キャンセルは、その方が予約や治療に対してどの程度真剣なのかを見極める一つの材料にもなります。結果として、早い段階でその傾向を見つけれるという点では、悪いことばかりではありません。

じつは、この問題は今に始まった事ではない

2026年に入り、このような「とりあえず予約」をされる方が増えたため、当院では4月頃から一時的に「診察料金」という制度を設けました。実際、診察を有料にすることで、予約だけを気軽に押さえるケースはかなり減りました。

一方で、以前から通ってくださっている患者様からは、「ちょっと質問したいだけでも有料なの?」「気軽に相談しづらくなった」といった不安の声もありました。

そのため、現在は診察料金の制度はいったん廃止し、診察・相談は無料という方針に戻しています。

当院としても、話を聞いた結果、「今は施術を受けない」という結論になることはまったく問題ありません。診察を受けたからといって、施術を受けなければならないわけでもありません。

むしろ、しっかり相談して、納得した上で「やらない」と決めることも立派な選択です。

ただ、予約を取って、その時間になっても来ない、また挙げ句の果てには忘れている…論外です。

その時間に、
診察を受けたかった別の患者様がいたかもしれません。
スタッフの休憩時間を取れたかもしれません。
勉強会を開けたかもしれません。

本人にとっては「今日は行かなくてもいいかな」という程度でも、医療機関側では一つの大きな時間が失われます。

診察できる人数には限りがあります。だからこそ、その時間は、「本当に治療を考えている」「自分の状態をきちんと診てもらいたい」「治療するかどうかを真剣に検討したい」という方のために使いたいと思っています。

まだそこまで気持ちが固まっていないのであれば、焦って予約を取る必要はありません。まずはLINEやメール、もしくはお電話などで質問をするのもありです。

美容医療は生活に必須の治療ではありません。受けるかどうかは完全に本人の自由です。だからこそ、受ける気持ちがまだない人を、こちらから追いかけてまで治療を勧めるつもりもありません。

忘れてしまうほど優先順位が低いのであれば、今はまだ治療を受けるタイミングではありません。

予約をするときは真剣に。相談するときは気軽に。

そして相談に来たときには、遠慮せず、言いたいことも聞きたいことも全部話してください。

私たちは、「なんとなく予約を入れた人」ではなく、自分の悩みについてきちんと考え、そのために時間を作って来院される方に、こちらも真剣に時間を使いたい。そう考えています。

本気で悩んでいる人と、本気で向き合う。
申し訳ないけど、なんとなくには、付き合わない。
MSAは、その方針をどんどん突き進んでいきます。

無断キャンセル歴が一番わかりやすい指標

じつは、無断キャンセルにはある程度の「行動の傾向」があることが、医療分野の研究でも示されています。2022年に npj Digital Medicine に掲載されたLiuらの研究では、16万件以上の小児科予約データを用いてno-showを予測したところ、著者らは “patients’ past no-show record is the strongest predictor”、つまり「患者の過去のno-show歴が最も強い予測因子である」と報告しています。 また、109,328人・1,118,236件の予約を解析した別の大規模研究でも、過去のno-show率について “Previous no-show and late cancellation rates were considered strong predictors of no-shows and late cancellations, respectively.”、すなわち「過去のno-show率や直前キャンセル率は、その後のno-showや直前キャンセルの強い予測因子である」とされています。 さらに、113,716件の予約を解析した研究でも、過去の非来院歴は将来の非来院と有意に関連し、著者らは「過去1年間の欠席率が高い患者ほど、その後も予約を欠席する確率が高い」ことを予測モデルの特徴として挙げています。 もちろん、一度無断キャンセルをしただけで、その人の人格まで判断できるわけではありません。しかし、「過去に予約を守らなかった」という行動そのものが、今後の予約不履行を予測する重要な情報になることは、複数の研究で示されています。ですから当院でも、一度の出来事だけで判断するのではなく、予約変更、直前キャンセル、無断キャンセルなどを含めた行動の傾向を見ています。そして、その傾向が明らかな場合には、限られた診療時間を本当に治療を必要としている患者様のために確保する目的から、以後の予約受入を停止することがあります。

参考文献
Liu D, Shin WY, Sprecher E, et al. Machine learning approaches to predicting no-shows in pediatric medical appointment. npj Digital Medicine. 2022;5:50.
Predicting Missed Appointments in Primary Care: A Personalized Machine Learning Approach.
Factors associated with nonattendance at clinical medicine scheduled outpatient appointments in a university general hospital.

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