クローズド法による鼻形成|術後1週間の経過
監修医師
MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠
略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院
所属学会
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
The Rhinoplasty Society 海外会員
アメリカ美容外科学会(AACS)海外会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員
鼻中隔から鼻柱までを一体化して支える Septo-columellar strut の考え方
今回は、クローズド法で行った鼻形成の術後1週間の経過についてご紹介します。
今回の手術では、鼻筋を高くするだけではなく、鼻先の位置、鼻柱の支え、鼻尖の向き、横顔のバランスを整えるために、鼻の内部構造を再構築しています。
術式としては、
アプローチ:クローズド法
採取軟骨:鼻中隔軟骨・耳介軟骨
Septo-columellar strut
Verona suture
Tip extension suture
Shield graft
Columellar augmentation graft
I型シリコンプロテーゼによる鼻根部形成
今回の写真は、術後1週間の状態です。

術後1週間の時点では、まだ腫れやむくみが残っています。
そのため、完成形ではありません。鼻先はもう少し、下を向いてくるでしょう。
しかし、術後1週間でも、鼻根部から鼻背、鼻先、鼻柱にかけての大きな方向性はすでに見え始めています。
クローズド法で行う鼻形成のメリット
今回の手術は、クローズド法で行っています。
クローズド法とは、鼻柱の皮膚を外から切開せず、鼻の穴の中から操作を行う鼻形成の方法です。
外から見える鼻柱の傷を避けられることが、よく知られているメリットです。
しかし、クローズド法のメリットは、単に「傷が見えにくい」ということだけではありません。
クローズド法では、必要な部分に限って操作を行うため、不必要な軟部組織の損傷を抑えやすいという利点があります。鼻の皮膚・軟部組織は、鼻の形を包み込む大切な外套です。この軟部組織を過度に剥離すると、腫れが長引いたり、瘢痕が強くなったり、皮膚のなじみが悪くなることがあります。
その点、クローズド法では、鼻の皮膚・軟部組織外套を大きく持ち上げず、必要な範囲で鼻の内部構造にアプローチします。文献的にも、endonasal rhinoplasty / closed rhinoplasty では、皮膚・軟部組織外套や鼻の靭帯支持を温存しやすく、浮腫の軽減、外表の傷を避けること、より自然な見た目や触感につながる可能性が報告されています。
また、鼻の皮膚には血流があります。大きく皮膚を剥離すればするほど、皮膚・軟部組織外套への負担は増えます。特にプロテーゼや軟骨移植を行う場合、皮膚や軟部組織の状態は非常に重要です。
クローズド法では、過度な剥離を避けることで、皮膚の血流が保たれやすくなることが期待できます。もちろん、これは「クローズド法なら絶対に血流トラブルが起こらない」という意味ではありません。しかし、必要以上に皮膚・軟部組織を剥離しないという考え方は、鼻形成において非常に重要です。revision rhinoplasty などで皮膚・軟部組織外套の血流や瘢痕が問題になりやすいことも報告されており、初回手術の時点から軟部組織を大切に扱うことには大きな意味があります。
クローズド法は、鼻の構造を温存しながら必要な部分を調整する、いわば低侵襲で構造を整える鼻形成です。
ただし、クローズド法は簡単な手術という意味ではありません。
むしろ、見える範囲が限られるため、内部構造を三次元的に理解しながら操作する必要があります。
鼻中隔、鼻柱、鼻尖、軟骨移植、縫合操作を限られた視野の中で正確に行う必要があるため、単純に「傷が見えないから良い」というだけではなく、必要な操作を、必要な範囲で、正確に行う技術が求められます。
今回のように、septo-columellar support を作り、鼻先の向きや鼻柱の位置を調整する場合には、鼻の内部構造を立体的に理解しながら操作することが重要です。

Septo-columellar strut とは
今回の症例で重要なのは、単純な「鼻中隔延長」と「コルメラストラット」を別々に行ったというよりも、鼻中隔から鼻柱にかけての支持構造を一体化して作るという考え方です。
これを、ここでは Septo-columellar strut / Septocolumellar support と表現しています。
従来、鼻先の支持には、columellar strut(コルメラストラット) や septal extension graft(鼻中隔延長) などが用いられてきました。
Columellar strut は、左右の内側脚の間に軟骨を置き、鼻柱から鼻先の土台を支える方法です。鼻尖の projection や鼻柱の安定化に役立ちますが、鼻中隔に強固に固定されるわけではないため、大きな鼻尖位置のコントロールや長期的な回転の維持には限界が出ることがあります。
一方で、septal extension graft は、鼻中隔に軟骨を固定し、鼻先の位置、回転、突出をより強くコントロールする方法です。鼻尖の projection、rotation、shape を長期的に安定させる目的で用いられます。ただし、鼻形成では「どちらか一方が正しい」というものではありません。
重要なのは、患者様の鼻の構造に合わせて、
鼻中隔側の固定性
鼻柱側の支え
鼻先の可動性
鼻尖の向き
鼻柱の見え方
口元とのバランス
をどのように設計するかです。
今回のように、鼻中隔から鼻柱までを連続した支持構造として考えることで、鼻先を無理に押し出すのではなく、鼻先と鼻柱を自然な位置に導くことを目指します。
Septo-columellar strut の目的
Septo-columellar strut の目的は、鼻先をただ高くすることではありません。
目的は、鼻中隔から鼻柱、鼻尖までの支持構造を安定させることです。
鼻先は、術後に腫れが引くだけでなく、瘢痕拘縮、皮膚の戻り、軟部組織の収縮、重力などの影響を受けながら変化します。術直後にきれいに見えても、支持構造が弱ければ、時間とともに鼻先が下がったり、projection が弱くなったり、鼻柱の形が不安定になったりする可能性があります。
近年、Seneldirらは、septocolumellar strut technique を、従来の columellar strut に追加する支持構造として報告しています。この研究では、open rhinoplasty において、SCS と columellar strut を組み合わせた症例を評価し、術後3ヶ月および12ヶ月の Goode’s ratio、鼻長、tip rotation、tip projection などを検討しています。結果として、Goode’s ratio、鼻長、tip projection は12ヶ月まで維持され、tip rotation も軽度の低下を除いて概ね安定していたと報告されています。
つまり、septo-columellar strut の考え方は、鼻先の見た目だけではなく、術後の鼻尖安定性をどのように保つかという点で重要です。
鼻形成では、術直後の高さだけを追うのではなく、時間が経っても維持されやすい構造を作ることが大切です。
Verona suture と Tip extension suture
今回の鼻先形成では、軟骨移植だけでなく、縫合操作も組み合わせています。
鼻先の形は、軟骨を入れるだけでは完成しません。軟骨同士をどの方向に寄せるか、どこに固定するか、どの程度の張力をかけるかによって、鼻先の形は大きく変わります。
今回行っているVerona sutureとTip extension sutureは、鼻尖の形、回転、突出感を細かく調整するための操作です。鼻先は、ほんの少しの角度の違いで印象が変わります。
上向きすぎると、幼い印象や不自然な印象になりやすくなります。
下がりすぎると、重たい鼻に見えやすくなります。
前に出しすぎると人工的に見え、控えすぎると変化が分かりにくくなります。
そのため、鼻先形成では、高くすることだけではなく、どこに、どの角度で、どの程度出すかが非常に重要です。
Septo-columellar strut で土台を作り、縫合操作で鼻尖の方向性を微調整する。
この組み合わせによって、鼻先の安定性と自然な形の両立を目指します。
Shield graft による鼻尖形成
今回の症例では、鼻先の輪郭を整えるために Shield graft も行っています。
Shield graft は、鼻先の前面に軟骨を配置し、鼻尖の形を整えるための graft です。
鼻先に適切な立体感を出し、横顔だけでなく、斜めや正面から見た鼻先の印象も整えます。
ただし、Shield graft も単独で考えるものではありません。鼻先の土台が不安定な状態で Shield graft だけを置いても、長期的に理想的な形を保つことは難しくなります。
そのため、今回のように、septo-columellar support によって鼻先の土台を整えたうえで、Shield graft により鼻尖の輪郭を微調整することが重要になります。
つまり、支える構造と見える形を整える構造を分けて考えることが大切です。
Columellar augmentation graft による鼻柱の調整
今回の症例では、鼻柱の見え方を整えるために Columellar augmentation graft も行っています。
鼻形成では、鼻先だけを高くしても、鼻柱が引っ込んでいると、横顔のバランスが整わないことがあります。
鼻柱は、横顔で見たときに非常に重要です。
鼻先と上口唇の間にある小さな部分ですが、鼻全体の印象を大きく左右します。
鼻柱が適切に支えられることで、鼻先から上口唇にかけてのラインが整い、横顔が自然に見えやすくなります。
今回の手術では、septo-columellar support によって鼻柱の土台を作り、さらに Columellar augmentation graft によって鼻柱の見え方を整えています。
鼻先だけではなく、鼻柱まで含めて設計することで、より自然な横顔に近づきます。
I型シリコンプロテーゼによる鼻根部形成
鼻根部には、I型シリコンプロテーゼを使用しています。
鼻根部とは、眉間から鼻筋の始まりにあたる部分です。この部分に適切な高さを出すことで、横顔で見たときの鼻筋が整いやすくなります。
ただし、鼻根部を高くしすぎると、不自然な印象になりやすくなります。いわゆる「アバター感」や、額から鼻が急に立ち上がるような印象につながることがあります。
そのため、鼻根部形成では、単純に高さを出すのではなく、額から鼻根部、鼻背、鼻先へと自然につながるラインを意識する必要があります。
今回の症例でも、鼻根部だけを強調するのではなく、鼻背から鼻先までが自然につながるように調整しています。
鼻根部は高ければ良いわけではありません。鼻先、鼻柱、口元とのバランスを見ながら、適切な高さにすることが重要です。
術後1週間の状態について
今回の写真は、術後1週間の状態です。
術後1週間では、まだ完成ではありません。
特に鼻先や鼻柱周囲には腫れが残りやすく、鼻筋にもむくみが出ることがあります。
術後1週間でよく見られる変化としては、
鼻先の腫れ
鼻筋周囲のむくみ
鼻柱周囲の硬さ
鼻先の丸み
左右差のように見える腫れ
皮膚のつっぱり感
などがあります。
これらは、鼻形成の術後早期では一般的に見られる変化です。
特に、鼻先に軟骨移植や縫合操作を行っている場合、鼻先の細かい形が落ち着くまでには時間がかかります。
術後1週間は、完成形を見る時期ではなく、
大きな方向性を確認する時期
です。
今回の症例でも、まだ腫れはありますが、鼻根部から鼻背、鼻先、鼻柱にかけてのラインは整い始めています。
今後、腫れが引くことで、鼻筋や鼻先の輪郭はさらに変化していきます。

まとめ
今回は、クローズド法による鼻形成の術後1週間の経過をご紹介しました。
今回のポイントは、単純な「鼻中隔延長」と「コルメラストラット」を別々に考えるのではなく、
鼻中隔から鼻柱までを一体化して支える septo-columellar strut / septocolumellar support の考え方
で鼻先を設計している点です。
鼻先は、ただ高くすればよいわけではありません。鼻中隔、鼻柱、鼻尖、鼻根部、鼻背、口元とのバランスを見ながら、どこを支え、どこを整え、どこに自然さを残すかが重要です。
また、クローズド法には、外表の傷を避けられるだけでなく、必要以上の軟部組織損傷を抑え、皮膚・軟部組織外套や血流を保ちやすいというメリットがあります。
術後1週間はまだ腫れが残る時期ですが、鼻根部から鼻背、鼻先、鼻柱にかけての大きなラインは見え始めています。
鼻形成では、術直後の変化だけでなく、時間が経っても安定しやすい構造を作ることが大切です。MSA美容外科では、患者様一人ひとりの鼻の構造、皮膚の厚み、軟骨の強さ、横顔のバランスを確認しながら、自然で調和の取れた鼻形成を行っています。
参考文献
Seneldir S, Yenigun A, Yigit E, Quijano U, Ozturan O. Septocolumellar Strut Technique: Tip Stability and Aesthetic Outcomes in Rhinoplasty. JPRAS Open. 2026. doi:10.1016/j.jpra.2026.01.024.
この論文では、septocolumellar strut technique を、従来の columellar strut に追加する支持構造として用い、術後3ヶ月および12ヶ月の Goode’s ratio、鼻長、tip rotation、tip projection などを評価しています。12ヶ月時点でも tip projection などが維持され、鼻尖安定性に有用である可能性が示されています。
Ducic Y, DeFatta R. Closed rhinoplasty. Otolaryngologic Clinics of North America. 2007.
クローズド法による鼻形成の基本的な考え方を整理した文献です。
The Principles and Practice of Endonasal Rhinoplasty. Clinics in Plastic Surgery.
Endonasal rhinoplasty / closed rhinoplasty は、剥離範囲、瘢痕、構造の乱れを最小限にし、術後変形を減らすことを目的としたアプローチとして説明されています。
Endonasal Secondary Rhinoplasty Techniques. Facial Plastic Surgery Clinics of North America.
Endonasal revision では、皮膚・軟部組織外套や鼻の靭帯支持を温存することで、浮腫の軽減、外表の傷を避けること、自然な見た目や触感の維持につながる可能性が述べられています。
Salvaging the Compromised Soft-Tissue Envelope in Revision Rhinoplasty. Facial Plastic Surgery Clinics of North America.
revision rhinoplasty では、過去の手術による瘢痕、血流低下、軟部組織外套の質の低下が問題となるため、皮膚・軟部組織外套を温存することの重要性が述べられています。
Byrd HS, Andochick S, Copit S, Walton KG. Septal extension grafts: A method of controlling tip projection shape. Plastic and Reconstructive Surgery. 1997.
Şirinoğlu H. The Effect of the Short and Floating Columellar Strut Graft and Septocolumellar Suture on Nasal Tip Projection and Rotation in Primary Open Approach Rhinoplasty. Aesthetic Plastic Surgery. 2017.
Akkus AM, Eryilmaz E, Guneren E. Comparison of the effects of columellar strut and septal extension grafts for tip support in rhinoplasty. Aesthetic Plastic Surgery. 2013.
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