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シミを取る前に、まず「シミ治療ができる肌」をつくる
監修医師
MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠
略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院
所属学会
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
The Rhinoplasty Society 海外会員
アメリカ美容外科学会(AACS)海外会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員
「シミを取りたい」と考えたとき、最初にレーザー治療を思い浮かべる方は多いと思います。
もちろん、日光黒子など、レーザーが有効なシミもあります。しかし、「シミ」と呼ばれるものには、日光黒子、肝斑、炎症後色素沈着、ADMなど、さまざまな病態があります。まず重要なのは、レーザーを繰り返すことではなく、どの種類の色素斑なのかを見極めることです。
レーザーを繰り返せば、必ず薄くなるとは限りません
肌に乾燥や皮膚炎、慢性的な炎症がある状態で強いレーザーや光治療を繰り返すと、治療後の赤みが長引いたり、炎症後色素沈着によって、かえって色が濃く見えたりすることがあります。
特に日本人を含む色素沈着を起こしやすい肌質では、レーザー治療そのものが新たな炎症後色素沈着を生じさせる可能性があります。炎症後色素沈着に対するレーザー治療についても、改善だけでなく悪化が報告されており、慎重な適応判断が必要です。[1,2]
したがって、シミ治療では、どのレーザーを使用するか だけでなく、
どのような状態の肌に照射するかという視点が重要です。
まずは肌の不安定な状態を整える
当院では、乾燥、赤み、刺激感、慢性的な炎症などが認められる場合、すぐに強いレーザーを繰り返すのではなく、先に肌状態を整えることをご提案しています。
この期間に目指すのは、皮膚炎や乾燥が落ち着き、治療後の炎症や色素沈着をできるだけ起こしにくい状態です。これは、レーザーの効果を保証するための前処置ではありませんが、その後の治療を、より安全かつ適切に進めるための準備です。治療だけでなく、適切な保湿、摩擦を避けること、紫外線対策も重要になります。

マッサージピールとEPスキン
当院では、肌全体の質感やくすみ、乾燥、炎症などを考慮し、マッサージピールとEPスキンを組み合わせることがあります。
マッサージピール
マッサージピールは、従来の強いピーリングのように皮膚表面を大きく剥離させるのではなく、肌のハリ、質感、くすみなどの改善を目的とした治療です。
ただし、マッサージピールを行うことで、その後のレーザー治療の効果が必ず高まることが証明されているわけではありません。あくまで、肌全体の状態を整えるための補助的な治療として使用します。

EPスキン
EPスキンは、電気的な作用を利用して、美容成分の皮膚への導入を補助する治療です。
肌状態に応じて、トラネキサム酸、コウジ酸、グルタチオン、バクチオールなどを使用します。トラネキサム酸は、特に肝斑に対して複数の臨床研究があり、色素沈着の改善を補助する成分です。[3]コウジ酸は、メラニン産生に関与するチロシナーゼの働きを抑える成分として使用されています。[4]バクチオールは、レチノールに似た光老化改善作用が期待され、比較的小規模な比較試験では、色素むらやしわの改善と、レチノールよりダウンタイムが少ないと報告されています。[5]全ての日本国内生産の成分となっております。

3週間に1回、合計6回を一つの目安に
当院では、肌状態を段階的に確認するための治療設計として、マッサージピールとEPスキンを3週間に1回、合計6回行うプランをご提案しています。
この間隔と回数は、医学的に唯一の正解として確立されたものではなく、当院の治療プロトコルです。実際には、乾燥、炎症、色素斑の種類、治療への反応に応じて調整します。
※ 強い乾燥や炎症がある場合
強い乾燥や刺激感、赤みを伴う肌状態の場合。
肌が乾燥すると、角層のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。すると炎症が起こりやすくなり、赤みやヒリつき、かゆみなどにつながります。さらに、炎症が続くことで色素沈着が生じ、それを隠すためにメイクが厚くなることもあります。メイクやクレンジングによる摩擦が増えると、さらに肌の負担が大きくなり、
乾燥
→ バリア機能の低下
→ 炎症
→ 色素沈着
→ メイクやクレンジングによる負担
→ さらなる乾燥と炎症
という悪循環に陥ってしまいます。

レーザー治療や光治療、ピーリングなどの積極的な施術が有効な場面もあります。一方で、肌のバリア機能が低下し、炎症が強くなっている時期には、無理に治療を重ねるよりも、まずは肌を鎮静し、保湿・保護することが大切です。
最近は、患者様の肌状態に応じて、次のような「肌を守る治療」をご提案しています。
- スキンケアの見直しと保湿ケア
- 洗顔方法や摩擦、紫外線対策などの生活指導
- EPスキンを用いた美容成分の導入
- 肌状態に合わせた抗炎症・鎮静ケア
EPスキンでは、肌のお悩みや炎症の程度に応じて、トラネキサム酸、ビタミンC、バクチオール、アゼライン酸、コウジ酸などの成分を選択します。
美容医療は、必ずしも強い治療を続けることだけが正解ではありません。肌が不安定な時には、いったん立ち止まり、炎症を抑え、うるおいを補い、バリア機能を整える。そうして肌の土台を立て直すことで、その後のレーザーや光治療の効果を引き出しやすくなる場合もあります。
「攻める治療」だけでなく、「守る治療」も美容医療の大切な選択肢です。
その時々の肌状態を見ながら、無理のない治療計画をご提案しています
シミだけではなく、シミが存在する肌全体を見る
シミ治療では、すぐに色素へレーザーを照射することが、必ずしも最初の選択になるとは限りません。
まずシミの種類を診断し、皮膚炎や乾燥があればそれを整える。そのうえで、遮光、外用治療、ピーリング、導入治療、レーザーなどを適切に組み合わせることが重要です。
シミだけを見るのではなく、シミが存在している肌全体を見る。
それによって、不要な刺激や炎症後色素沈着を避け、より無理のない治療につなげられることがあります。
参考文献
- Agbai O, Hamzavi I, Jagdeo J. Laser Treatments for Postinflammatory Hyperpigmentation: A Systematic Review. JAMA Dermatol. 2017;153(2):199-206. doi:10.1001/jamadermatol.2016.4399.
- Sowash M, et al. Review of Laser Treatments for Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Color. Am J Clin Dermatol. 2023.
- Calacattawi R, et al. Tranexamic acid as a therapeutic option for melasma management: meta-analysis and systematic review of randomized controlled trials. J Dermatolog Treat. 2024;35:2361106.
- Saeedi M, Eslamifar M, Khezri K. Kojic acid applications in cosmetic and pharmaceutical preparations. Biomed Pharmacother. 2019;110:582-593.
- Dhaliwal S, et al. Prospective, randomized, double-blind assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing. Br J Dermatol. 2019;180(2):289-296. doi:10.1111/bjd.16918.
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