美容医療は、世界で「巨大産業」になっている

監修医師

モレロ オースティン誠

MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠

略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院

所属学会
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
The Rhinoplasty Society 海外会員
アメリカ美容外科学会(AACS)海外会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員

10年後には約3倍へ拡大する美容医療市場。その中で、見失ってはいけないこと。

美容医療は、もはや一部の人だけが受ける特別な医療ではなくなっています。

ヒアルロン酸、ボトックス、糸リフト、くま治療、鼻整形、フェイスリフト、脂肪吸引、豊胸、ボディラインの形成。こうした治療は、世界中でより身近な選択肢になり、医療であると同時に、大きな産業として成長しています。

市場調査では、世界の美容医療市場は今後10年で約3倍に近い規模へ拡大すると見る予測があります。
(2025年に約997億ドル規模だった市場が、2034年には約2,700億ドル規模へ成長するという見込み)

これは、美容医療が単なる流行ではなく、世界的な需要に支えられた巨大市場になっていくことを意味しています。

では、この変化は私たちにとって良いことなのでしょうか。
それとも、注意すべきことが増えていくのでしょうか。

答えは、おそらく両方です。

美容医療は「顔」だけの市場ではない

美容医療というと、日本では目元、鼻、くま、たるみ、ヒアルロン酸など、顔の治療を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし世界的に見ると、美容医療の市場は顔だけではありません。

ISAPSの2024年国際調査では、世界の美容外科手術は約1,741万件。そのうち、顔・頭部の手術は約750万件、乳房の手術は約391万件、ボディ・四肢の手術は約601万件と報告されています。

つまり、手術件数ベースで見ると、顔の治療と、乳房・ボディラインの治療が大きく市場を二分しています。

顔を若く、美しく見せたいという需要。
身体のラインを整えたいという需要。
出産や加齢、体重変化によって変わった体型を整えたいという需要。
男性の美容医療への関心。
SNSやオンライン会議で自分の見た目を意識する機会の増加。

こうした複数の要素が重なり、美容医療は顔だけでなく、全身を対象とする市場へ広がっています。

美容医療は、国境を越える時代へ

もう一つ大きな変化があります。
それは、美容医療が国境を越えて受けられる時代になっていることです。

韓国、トルコ、タイ、メキシコ、ブラジルなど、美容医療や医療ツーリズムに強い国では、海外から患者を受け入れる体制が整えられています。

韓国では、2023年に外国人患者が約60.6万人に達し、前年から大きく増加したと保健福祉部が発表しています。この外国人患者のうち美容皮膚科が35.2%、美容外科が16.8%を占め、両者を合わせると過半数が美容関連領域だったとされています。

トルコもまた、植毛、歯科、美容外科などを中心に医療ツーリズムを伸ばしており、2023年には180万人を超える外国人患者を受け入れたと報じられています。

また、特徴的なのは単に海外から患者様を受け入れているだけではなく、美容外科医向けの教育や講習にも積極的であることです。

実際に私自身も、トルコで鼻形成(Dr. Teoman)やフェイスリフト(Dr. Nayak)の講義を受けた経験があります。現地では、世界中の美容外科医が集まり、手術手技や考え方を学ぶ場が開かれていました。

つまりトルコは、医療ツーリズムの受け入れ国であると同時に、美容外科の技術や知識を発信する国にもなっています。

この点は、今後の美容医療を考えるうえで非常に重要です。

美容医療は、患者様だけでなく、医師も国境を越えて学ぶ時代になっています。
新しい技術、手術手技、考え方は、特定の国の中だけで完結するものではありません。

韓国で学ぶ医師もいれば、トルコで学ぶ医師もいます。
アメリカ、ブラジル、ヨーロッパ、タイなど、世界中の美容外科医が互いに技術を学び合っています。

その意味で、美容医療の国際化そのものは、決して悪いことではありません。

むしろ、世界中の知識や技術を学び、患者様によりよい医療として還元していくことは、美容外科医にとって大切な姿勢だと思います。

美容医療は、もはや「近くのクリニックで受けるもの」だけではありません。

飛行機に乗り、ホテルに泊まり、通訳を介し、SNSで症例を見て、海外で施術を受ける。
そうした選択が、世界ではすでに一般化しつつあります。

美容医療が「買いやすい商品」になっていく

市場が拡大すること自体は、悪いことではありません。

技術が進歩し、選択肢が増え、これまで治療を受けにくかった人にも美容医療が届くようになる。
これは良い変化です。

しかし、市場が大きくなるほど、美容医療は「医療」であると同時に、「商品」として扱われやすくなります。

分かりやすい価格。
短いダウンタイム。
SNS映えする症例写真。
旅行とセットになったパッケージ。
通訳、送迎、ホテル込みのプラン。
キャンペーン価格。
モニター価格。
「今だけ」「今日だけ」という契約導線。

このように、美容医療はどんどん買いやすくなっていきます。

けれど、ここで忘れてはいけないことがあります。

買いやすいことと、安全に受けられることは同じではありません。

市場が拡大すると、何が見えにくくなるのか

美容医療が巨大産業になると、患者様にとって選択肢は増えます。

しかし同時に、見えにくくなるものもあります。

それは、診察の中身です。

誰が診察しているのか。
誰が治療方針を決めているのか。
本当にその施術の適応があるのか。
他の選択肢は説明されているのか。
使用する薬剤や機器は何なのか。
術後は誰が診るのか。
合併症が起きたとき、どこまで対応してもらえるのか。

こうした部分は、価格表やSNSの症例写真だけでは分かりません。

特に美容医療が観光商品に近づくほど、施術前の予約のしやすさや価格の分かりやすさが前面に出ます。一方で、術後の経過、長期的な変化、トラブル時の対応といった「医療としての時間」は見えにくくなります。

顔の治療とボディの治療では、リスクの見え方も違う

世界的には、顔の治療だけでなく、脂肪吸引、腹部形成、豊胸、乳房縮小、ヒップ形成など、ボディ領域の需要も大きな比重を占めています。

顔の治療は、人目につきやすく、わずかな変化でも印象が変わります。一方、ボディの治療は、身体への負担や出血、麻酔、術後管理、圧迫、生活制限など、また別の意味で慎重さが必要です。

つまり、美容医療の市場が広がるほど、必要なのは「手軽さ」ではなく、むしろより丁寧な判断です。

顔も、身体も、同じ施術名で結果が決まるわけではありません。

その人の骨格。
皮膚の厚み。
脂肪のつき方。
筋肉の状態。
年齢。
生活習慣。
既往歴。
求める変化の大きさ。
術後にどれだけ休めるか。

これらを見たうえで、治療は決められるべきです。

日本の美容医療は、どこへ向かうのか

今後、日本の美容医療もこの世界的な流れから無関係ではいられません。

これは決して最近始まった現象ではありません。
特に沖縄で診療をしていると、私は10年以上前からその傾向を感じてきました

沖縄は韓国をはじめとしたアジア圏への直行便があり、地理的にも海外美容医療との距離が近い地域です。旅費や宿泊費を含めても、日本国内で同じような施術を受けるより安く済むことがある。そのため、実際に多くの方が、韓国で美容医療を受ける選択をしてきました。

もちろん、海外で美容医療を受けること自体を否定したいわけではありません。価格、症例数、スピード感、SNSでの分かりやすさ、通訳や予約代行の整備など、海外美容医療には患者様にとって魅力的に見える要素があります。

しかし、その一方で忘れてはいけないのは、美容医療は施術を受けた瞬間に終わるものではないということです。

腫れ、内出血、左右差、傷跡、違和感、感染、修正の必要性。
こうした問題は、術後しばらくしてから気になることもあります。

そのときに、誰に相談できるのか。
施術をした医師に経過を診てもらえるのか。
トラブルが起きたとき、すぐに対応してもらえる距離にあるのか。

旅費と施術費用を合わせた「総額」だけでは見えないものがあります。
それが、術後まで責任を持って診てもらえる安心感です。

美容医療が国境を越える時代だからこそ、価格や手軽さだけでなく、施術後の時間まで含めて考えることが大切です。

もう一つは、日本の美容医療が外国人患者を受け入れる側へ回る流れです。

円安。
日本への観光需要。
清潔さや丁寧さへの信頼。
アジア圏からのアクセス。
日本の医療に対する安心感。

これらを背景に、日本国内の美容クリニックが、外国人向けサービスに力を入れる可能性は十分にあります。実際、MSAでも私のバックグラウンドを活かしてたアメリカ人相手の美容医療を多く受け入れております。

東京、大阪、福岡、そして沖縄のような観光地では、将来的に「美容医療と滞在」を組み合わせた導線が増えるかもしれません。

ただし、ここで最も大切なのは、集客ではありません。術後まで責任を持てる医療体制です。

日本国内でも拡大するマーケット

世界的に美容医療の市場が拡大している中で、日本の美容医療もまた大きな変化の中にあります。

SNSや著名人の影響によって、美容医療に対する心理的なハードルは以前よりも低くなりました。
ヒアルロン酸やボトックス、レーザー治療、肌治療などは、今では特別な人だけが受けるものではなく、年齢や性別を問わず、より身近な選択肢になりつつあります。

特に日本では、高齢化に伴い「大きな手術は避けたいけれど、若々しさや清潔感は保ちたい」という需要が高まっています。そのため、ダウンタイムの短い注入治療、レーザー治療、肌質改善、たるみ治療など、非手術的・低侵襲な治療を希望される方が増えています。しかし、低侵襲の施術(ヒアルロン酸や糸リフトなど)の治療効果が期待に応えなかったことから、侵襲的手術は市場シェアは小さいものの、フェイスリフトや脂肪吸引などの複雑な手術オプションを提供し、長期的な効果を求める層も増えてきているという見解もあります。

また、最近では男性の美容医療への関心も高まっています。

以前は美容医療というと女性のものという印象が強かったかもしれませんが、今では男性も、肌、たるみ、目元、輪郭、薄毛、清潔感などを整えるために美容医療を検討する時代になっています。

さらに、技術の進歩によって、美容医療の選択肢は年々増えています。
レーザー、RF、超音波、注入製剤、糸、手術機器、画像診断、AIを活用した分析など、さまざまな技術が登場し、患者様にとって治療の選択肢は広がっています。

これは、とても良い変化でもあります。
以前よりも美容医療を受けやすくなり、悩みに対して多様な方法で向き合えるようになったからです。

しかし一方で、選択肢が増えた分だけ、患者様にとっては「何を選べばよいのか」が分かりにくくなっているとも言えます。

同じヒアルロン酸でも、どこに、どの深さに、どの製剤を、どれくらい入れるかで結果は変わります。
同じたるみ治療でも、皮膚の余り、脂肪の位置、骨格、筋肉、靭帯、肌質によって、適した治療は異なります。同じレーザー治療でも、肌質や肝斑の有無、炎症の起こりやすさによって、向き不向きがあります。

つまり、美容医療が身近になった時代だからこそ、本当に大切なのは「どの治療が流行っているか」ではなく、自分にその治療の適応があるかどうかです。

市場が大きくなり、民間企業の投資が増え、美容クリニックが増えてきております。急拡大しているチェーン系はこの傾向が多いです。

美容医療の市場が拡大し、治療がより身近になることは、決して悪いことではありません。
むしろ、患者様が自分の悩みに向き合う選択肢が増えるという意味では、前向きな変化です。

ただし、選択肢が増える時代だからこそ、必要なのは「選ぶ力」ではなく、正しく診断してもらうことです。

MSA美容外科では、美容医療はメニューを選ぶことではなく、診察によって設計することだと考えています。

美容医療が拡大する時代に、必要なのは「診断する医療」

美容医療の市場が大きくなることは、時代の流れです。

これからも、技術は進歩し、治療は増え、価格帯も広がり、国境を越えた美容医療はさらに一般化していくでしょう。

しかし、どれだけ市場が大きくなっても、美容医療の本質は変わりません。

大切なのは、流行っている施術を受けることではありません。
安い治療を選ぶことでもありません。
海外だから良い、日本だから良い、ということでもありません。

本当に大切なのは、

その治療が自分に合っているのか。
なぜその治療が必要なのか。
やらない方がよい治療はないのか。
術後まで責任を持って診てもらえるのか。

そこを見極めることです。

MSA美容外科としての考え方

MSA美容外科では、美容医療は「メニューを選ぶこと」ではなく、「診察によって設計すること」だと考えています。

たるみ、くま、鼻、輪郭、肌、注入治療。
同じ悩みに見えても、原因は一人ひとり違います。

だからこそ、治療は広告や流行から決めるのではなく、まず診察から始まるべきです。

美容医療が世界的に拡大し、より身近で、より買いやすいものになっていく時代だからこそ、私たちはあえて、診察の時間、適応の判断、術後までの責任を大切にしたいと考えています。

美容医療は、商品である前に医療です。

そして医療である以上、
「何をするか」よりも、
「なぜそれをするのか」
「本当にそれが必要なのか」
を考える時間が、何より大切だと考えています。

最後に

美容医療は、これからさらに大きな市場になります。

顔の治療も、身体の治療も、注入も、手術も、国境を越えて広がっていくでしょう。

しかし、市場が大きくなるほど、患者様自身が冷静に見極める力も必要になります。

価格。
症例写真。
SNSでの評判。
国やブランド。
パッケージの分かりやすさ。

それらは、クリニックを選ぶうえで一つの参考にはなります。

けれど、それだけで美容医療を決めるべきではありません。

誰が診るのか。
誰が判断するのか。
誰が術後まで責任を持つのか。

美容医療が世界的な巨大産業になっていく時代だからこそ、私たちはその原点を忘れないことが大切です。美容医療は、選びやすい商品になるほど、診察の価値も高くなる必要があります。

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