7月21日: 37歳 女性 (毛穴・肌質・たるみ)

監修医師

モレロ オースティン誠

MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠

1989年、アメリカ生まれ。10歳より沖縄で育つ。日本とアメリカ、双方の文化や価値観に触れてきた経験を生かし、患者様一人ひとりが持つ異なる美意識や希望を尊重した診療を大切にしています。日本語・英語の両方で診療を行い、国内外の知見を取り入れながら、自然で長期的な美しさを目指した美容医療を提供しています。大手美容外科にて約8年間、美容外科・美容皮膚科診療に携わり、2024年にMSA美容外科を開院。

略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院

資格・所属学会
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
The Rhinoplasty Society 海外会員
American Academy of Cosmetic Surgery(AACS)正会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員

今回のご相談

今回ご相談いただいたのは、肌質、毛穴、たるみを気にされている37歳の女性です。これまでにポテンツァや糸リフトなどの治療を受けた経験がありましたが、施術時の痛みや、効果の持続性に課題を感じていました。

今回ご希望されたのは、できるだけ無理なく継続しながら、じっくりと自然に整えていく治療です。

たるみは、下がっていることだけが原因ではない

ほとんどの患者様は「今すぐ効果を!」と希望されますが、今回の患者様は自「ゆっくりと着実に」を自ら希望され、とても印象的でした。

たるみが気になると、多くの方は「皮膚が下がっているから、上に引き上げなければならない」と考えます。

もちろん、加齢によって顔の組織の位置が変化することは、たるみの一つの原因です。しかし、実際のお顔は、紙のような平面ではありません皮膚、皮下脂肪、筋肉、靱帯、骨格などが重なって構成される、立体的な三次元構造です。そのため、たるみの治療を考える際には、単に「どの方向へ引き上げるか」だけではなく、

  • どの部分のボリュームが不足しているのか
  • 皮膚自体に十分な厚みや弾力があるのか
  • 骨格や軟部組織が皮膚を支えられているのか
  • 毛穴やキメの乱れによって、たるんで見えていないか

という点まで、細かく確認する必要があります。

この診断は実に難しく、数分の診察で見極めることはできません。

なぜ、たるみ治療では「さまざまな層」を考えるのか?

その理由は、老化が皮膚だけに起こるものではないからです。

高齢の方の姿を思い浮かべてみてください。外から見れば、皮膚のたるみが目立ちます。しかし、変化しているのは皮膚だけではありません。体の筋肉量は減少し、骨は少しずつ萎縮し、体全体も若い頃より小さくなっていきます。

顔でも、これと同じことが起こります。

歯はすり減り、顔面骨の形やボリュームは変化します。筋肉や靱帯の位置関係も変わり、脂肪は減少したり、下方へ移動したりします。さらに、コラーゲンやエラスチンが減少することで皮膚は薄くなり、ハリを失い、表面にはたるみや細かな凹凸が現れます。

つまり、老化とは一枚の皮膚だけが下がる現象ではありません。骨、筋肉、靱帯、脂肪、皮膚という、顔を構成する複数の層が同時に変化する現象です。そう考えると、すべての変化を一つの治療だけで整えることが難しいのは、自然に理解できると思います。

今回の患者様で見られた特徴

今回の患者様(37歳 女性)を少し離れた位置から見ると、額や目元を中心とした上顔面と、中顔面から下顔面にかけて、肌の明るさや色調がやや二分して見える印象がありました。

しかし、近くで確認すると、特定の部分だけが大きく下がっているというよりも、お顔全体のボリュームが少なく、皮膚の薄さや毛穴が目立ちやすい状態でした。

身長155cm、体重45kgと細身で、お顔の骨格も比較的小さく、もともとの脂肪や軟部組織の量も多くありません。

このような方の場合、「たるみがあるから脂肪を減らす」「強い機械で引き締める」という治療を繰り返すと、支えとなるボリュームがさらに少なくなり、かえって頬がこけたり、疲れて見えたりする可能性があります

必要なのは、余っている組織を減らすことではなく、不足している立体構造を整えることです。

三つの層から考えるたるみ治療

今回のような状態では、治療を大きく三つの層に分けて考えます。

一つ目は、ヒアルロン酸などによって、深い部分の不足したボリュームや支えを補うことです。二つ目は、ジュベルックなどによって、皮膚そのものの厚みやハリを育てることです。三つ目は、ボルニューマなどによって、皮膚や皮下組織を自然に引き締めることです。

この三つを組み合わせることで、補う、育てる、引き締めるという立体的な治療が可能になります。

単純に皮膚を一方向へ引っ張るのではなく、お顔を構成するそれぞれの層を整えるという考え方です。

MSAでは、なぜこのような考え方をするのか?外科治療で同じようなことを行っているからです。

ボリュームを脂肪注入で、たるみをリフト手術で治療をしており、お顔の内部の構造もみているからです。

美容皮膚科治療はどうしても単一の機械や注射だけに陥りやすいのですが、本当の治療は顔を立体として捉えることから始まります

ヒアルロン酸で、深い部分の支えを補う

ヒアルロン酸は、鼻を高くしたり、顎を前に出したりするためだけの治療ではありません。お顔の中でボリュームが不足している部分に必要最小限の量を補うことで、皮膚を内側から支えることができます。

今回の患者様では、ほうれい線だけを直接埋めるのではなく、周囲のボリュームや骨格とのバランスを確認しながら、どこに支えをつくるべきかを考えることが重要です。ヒアルロン酸を多く入れてお顔を膨らませるのではなく、もともと少なかった、あるいは失われた支えを適切に補う治療で、バランスよく行えば自然に綺麗を作れます。。

ジュベルックで、皮膚自体の厚みを育てる

今回、肌育治療としてジュベルックをご提案しました。ジュベルックは、施術直後に大きくお顔を変化させる治療ではありません。皮膚の中で徐々にコラーゲン産生を促し、毛穴、ハリ、弾力、皮膚の薄さなどを時間をかけて整えていく治療です。皮膚そのものの構造を少しずつ育てていくため、即効性よりも、数か月後から1年後の肌を見据えた治療といえます。

肌育注射にはリジュランなどの選択肢もあります。リジュランは、比較的早い段階で潤いやハリを感じやすい治療ですが、効果の実感は一定期間で薄れていきます。

一方、ジュベルックは、即時的な変化よりも、長期的な皮膚の土台づくりを目的としています。

今回のように、皮膚が薄く、毛穴が目立ちやすく、将来的なたるみも予防していきたい方には、ジュベルックが適していると考えました。

ボルニューマで、立体構造を自然に引き締める

今後の治療として、ボルニューマも候補となります。

ボルニューマは、高周波の熱を用いて皮膚や皮下組織に働きかけ、ハリや引き締まりを促す治療です。

脂肪を大きく減らすことを目的とするのではなく、皮膚や軟部組織の立体的な構造を保ちながら、全体を自然に引き締めていきます。立体的な構造が保たれると、保水能も上がるのです。

特に細身で、お顔のボリュームが少ない方の場合、脂肪を減らす可能性のある治療は慎重に選ぶ必要があります。たるみがあるからといって、一律に強いHIFUを照射すればよいわけではありません。皮膚の厚み、脂肪量、骨格、過去の治療歴を確認し、その方にとって「減らす治療」が必要なのか、「育てる治療」が必要なのかを判断することが重要です。

皮膚そのものにも「ボリューム」がある

美容医療でボリュームというと、頬の脂肪やヒアルロン酸など、皮膚より深い部分を想像する方が多いと思います。しかし、皮膚自体にも厚みがあります。皮膚の中には、コラーゲンやエラスチンを中心とする構造があり、肌のハリ、弾力、なめらかさを支えています。この構造が十分に保たれている肌は、表面がなめらかで、毛穴も目立ちにくく、光を均一に反射します。

一方で、皮膚が薄くなり、コラーゲンなどの密度が低下すると、表面の凹凸が目立ちやすくなります。毛穴が広がって見えたり、細かな影が生じたり、頬や口元の皮膚が力なく見えたりすることで、実際の位置の変化以上に「たるんだ印象」が強くなることもあります。

つまり、たるみ治療では、皮膚を上へ移動させることだけでなく、皮膚そのものの厚みや密度を育てることも重要です。

短期間で変えるのではなく、立体的に育てる

肌質、毛穴、たるみを改善するために、必ずしも強い治療を一度に行う必要はありません。

特に細身の方や、お顔の小さい方、もともとの脂肪量が少ない方では、引き上げることや減らすことだけを考えると、お顔全体のバランスを崩してしまうことがあります。

必要な部分のボリュームを補う。皮膚そのものの厚みを育てる。組織を減らしすぎず、自然に引き締める。これらを組み合わせることで、平面的ではなく、三次元的に肌と輪郭を整えていきます。

目標は、短期間で別人のように変化することではありません。数か月から1年をかけて、毛穴が目立ちにくく、光をきれいに反射し、自然なハリと立体感のある肌を育てていくことです。

たるみ治療は、何を引き上げるかではなく、何が不足しているか

たるみ治療というと、どの機械で引き上げるか、何本の糸を入れるかという話になりがちです。

しかし、本当に大切なのは、治療方法を先に決めることではありません。

その方のお顔を立体的に観察し、

  • 深い部分の支えが不足しているのか
  • 皮膚自体が薄くなっているのか
  • 脂肪や組織が多すぎるのか
  • 表面の毛穴や質感によって、たるんで見えているのか

見極めることです。

たるみは、引き上げるだけではありません。

皮膚そのもののボリュームを育て、お顔の三次元構造を整えることも、自然なたるみ治療の重要な一部だと考えています。

※治療の適応、効果、必要な回数、持続期間には個人差があります。診察時に骨格、脂肪量、皮膚の厚み、肌質、過去の治療歴などを確認したうえで、一人ひとりに適した治療をご提案します。

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