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SNS歴は まだ 2年 です。
監修医師
MSA美容外科 院長モレロ オースティン誠
1989年、アメリカ生まれ。10歳より沖縄で育つ。日本とアメリカ、双方の文化や価値観に触れてきた経験を生かし、患者様一人ひとりが持つ異なる美意識や希望を尊重した診療を大切にしています。日本語・英語の両方で診療を行い、国内外の知見を取り入れながら、自然で長期的な美しさを目指した美容医療を提供しています。大手美容外科にて約8年間、美容外科・美容皮膚科診療に携わり、2024年にMSA美容外科を開院。
略歴
2018〜2024年 大手美容外科沖縄院 院長
2024年 MSA美容外科 開院
資格・所属学会
日本美容外科学会(JSAS)認定専門医
日本美容外科学会(JSAS)正会員
日本美容外科学会(JSAPS)関連会員
The Rhinoplasty Society 海外会員
American Academy of Cosmetic Surgery(AACS)正会員
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科医師会 正会員
私が美容外科の道に進んだ2017年、某大手美容外科の面接で、こんなことを言われました。
「YouTube動画を必ず撮影してもらいます!」
「YouTube動画1件につき、○万円のインセンティブがつきます!」
「Instagramも必ずやってもらいます!」
「先生はもちろん、顔出しOKですよね?」
当時、日本一という大きな目標を掲げ、勢いのあるグループでした。非常に魅力的ではありました。ただ、私はどうしても、そのYouTubeやSNSのことが引っかかりました。そして残念ながら、そこへの入職は断念しました。
その後、私はむしろSNSに対して否定的な考え方を持つ美容外科に入職し、そのまま2024年に開業することになります。つまり私は、業務としてSNSを本格的に始めて、まだ2年ほどしか経っていません。

意外ですよね?
同業の先生からもよく、「え? そうなんですか?」と言われます。
はい、そうなのです。しかも、独学。
美容医療の世界では、開業前から勤務先でSNS運用を経験していたり、そこで得た大量のフォロワーをそのまま引き継いだり、開業と同時に専門のコンサルティング会社へ依頼したりする先生も多いです。
その中で私は、明らかに認知度という意味ではハードモードを歩んできました。
2024年11月に開業する際も、当時は本当に認知度がありませんでした。ですから、かなり不安でした。
手探りでCanvaというアプリを触りながら、完全にOJT、On the Job Trainingで学んできました。何事もそうです。誰も教えてくれません。わかる人に聞いたり、勉強したり、とにかく自分でやるしかないのです。
写真も。デザインも。文章も。ホームページも。できる限り、自分で考え、自分で作っています。
ここで本当は、「自分」という言葉ではなく「自分たち」と書きたいところです。ただ、スタッフはおそらく、これまで全体の0.001%くらいしかやっていません。理由は、できないからでも、やらないからでもありません。ついていけないからです。
私自身が、かなり細かいところまで気にして、こだわって、次から次へと磨きを加えております。なるべく他のクリニックとデザインが被らないように。やっていること自体も、できるだけ被らないように。ずっと考えてきました。
これから、美容クリニックはもっともっと増えていきます。特に美容皮膚科の領域は、今後さらに増えると思います。(※ 今後美容クリニックがどんどん増えていく理由はこのコラムの一番下の赤文字段落に注釈として書きますので気になる方はぜひご一読ください)
そんな中で、みんなが同じことを言っていたら、どうやって患者様に選んでもらうのでしょうか?
価格でしょうか? それは大手に負けます。大量発注の大手美容には価格では勝てません。
顔でしょうか? ルックスは永遠には続きません。そもそも、主役は医者ではありません。患者様です。
肩書きでしょうか? それも、その時代に求められなくなれば、過去の栄光に取り残されます。
だから私は、オープンの時からずっと言ってきました。
「内容で勝負する」「常にアップデートする」「こだわり抜く」
これは今後も変わりません。
どんな治療をするのか。どういう考え方で診療するのか。何を良いと考え、何をしないのか。
そこを磨き続けるしかないと思っています。
そして、そのクリニックの看板であり、名刺でもあるSNSも、当然それを体現していなければいけません。
診療の内容はアップデートしているのに、SNSだけがどこかで見たようなデザイン。
診療では個性を出したいと言いながら、発信している内容は他のクリニックとほぼ同じ。
それでは、少し矛盾していると思うのです。
だから私は、
SNSも自分で考えます。
ホームページも考えます。
写真も考えます。
デザインも考えます。
文章も考えます。
もちろん、その分だけ時間はかかります。かなり大変です。
それでも、このやり方を続けているのには理由があります。私にしかできないからです。
「プロに任せればいい」とは思えませんでした
開業前、SNSやホームページ運営について、いくつかの会社からプレゼンテーションを受けました。
「こういう投稿が伸びます。」
「この施術は反応が取れます。」
「この見せ方なら集客できます。」
どの会社も実績があり、とてもよく研究されていました。
マーケティングのプロなのだと思います。でも、話を聞けば聞くほど、私の中には一つの違和感が残りました。
それは、
「私がやりたい診療を応援してくれる」というよりも、「バズる診療に寄せていく」という考え方が強いことです。
もちろん、会社側に悪気があるわけではありません。成果を出すことが仕事なのですから、当然の考え方です。ですが、その考え方を続けていくと、少しずつクリニックの軸が変わってしまうのではないか。そんな不安を感じました。

SNSが診療方針を変えてしまうこともある
SNSは、本来なら診療を伝えるための手段です。でも、気をつけなければ、その関係は簡単に逆転します。
「この施術は再生数が伸びる。」
「この症例の方が反応がいい。」
「もっとこういう投稿を増やしましょう。」
そうした提案を繰り返し受けているうちに、「何を伝えたいか」ではなく、「何が伸びるか」が判断基準になってしまう。
さらに進めば、
「この診療をもっと増やしましょう。」
「こちらの施術を前面に出しましょう。」
という話にもつながっていきます。
もちろん、それで成功しているクリニックもたくさんあります。否定するつもりはありません。
ただ、それは私が目指したいクリニックとは少し違いました。診療方針は、患者さんのために考えるものです。SNSのアルゴリズムに合わせて決めるものではありません。
「モレロらしさ」は、自分で作りたい
先日、カメラについてのコラムを書きました。
「そこまでこだわる必要があるのですか?」と聞かれることもあります。
でも、写真も同じだと思っています。
どんな光で撮るのか。どんな色で見せるのか。どんな雰囲気を伝えるのか。それも、クリニックの価値観の一部です。
だから私は、写真にもこだわります。ホームページのデザインにもこだわります。文章の言葉遣いにもこだわります。そして、SNSにもこだわります。その結果、更新は決して早くありません。
Instagramだけでも精一杯で、Xや他のSNSまで手が回っていないのが現状です。
「もっと手広くやった方がいいですよ。」そんなアドバイスをいただくこともあります。きっと、その通りなのでしょう。
それでも私は、数を増やすことよりも、一つひとつを自分たちらしく作ることの方が大切だと思っています。
時間はかかります。でも、それでいい。
自分で作るということは、とにかく時間がかかります。写真を撮り、デザインを考え、文章を書き、何度も修正する。正直、効率だけを考えれば、外部にお願いした方がずっと楽です。
それでも続ける理由は、とてもシンプルです。
クリニックの考え方は、診察室の中だけで作られるものではないからです。
ホームページを見たとき。Instagramを開いたとき。一枚の写真を見たとき。そこにも、そのクリニックが何を大切にしているのかは表れます。だから私は、そこも診療の一部だと思っています。
まだSNS歴は2年です。決して長くはありません。
だからこそ、流行を追いかけるのではなく、一歩ずつ、自分たちらしい形を積み重ねていきたい。
これからも「モレロらしさ」は、誰かに作ってもらうものではなく、自分の手で作っていこうと思っています。
※ なぜ美容クリニックは、これからもっと増えるのか
これは2013年頃、当時の恩師であったY教授から聞いた話です。
「オースチン君、なんで専門医制度が新専門医制度に変わるかわかる?」
当時の私は、もちろんよく分かっていませんでしたが、説明を聞いて納得しました。
【注】 以下に記載する内容は、2013年頃に私が医学部教授から伺った話を、当時の記憶をもとに私なりにまとめたものです。国の正式な見解や政策を正確に解説することを目的としたものではなく、一部、私の解釈や記憶違いが含まれている可能性もあります。あくまでも、若手医師時代に恩師から聞いた一つの考え方・見方として、ご参考程度にお読みいただければ幸いです。
それまでの日本の「専門医」というものは、学会ごとに制度がかなり異なっていました。学会に入会し、一定の条件を満たせば取得できる専門医もありました。もちろん、非常に厳しい条件を設けていた学会もありましたが、基本的には各学会の判断に任されていた部分が大きかったのです。昔の病院でよくいましたよね? 内科・皮膚科・耳鼻科・小児科 全部標榜して、専門医も2〜3個持っているお医者さん。
ヒッチャカ・メッチャカだったので、そこで国としては、専門医制度そのものを整理し、専門医になるためのハードルを一定程度上げることにしたのです。それは建前上は「レベルを上げるため」としておりましたが、本当の理由は「それぞれの専門医の人数についてコントロールしていきたかった」からです。
これは、考え方としては非常に理にかなっています。なぜかを説明します。
まず病気には「罹患率(りかんりつ)」というものがあります。もちろん時代や環境によって多少は変化しますが、「この病気は人口何万人あたり何人くらい発症する」というように、全て数字で出すことができますので、必要となる医療の規模はある程度予測できます。とくに日本ではこれまでの保険診療における莫大なデータがあり、また単民族国家でもありますため、非常に精度の高い罹患率は全て簡単に出せます。
そうすると、心臓外科や脳神経外科など、非常に専門性の高い領域についても、「この人口に対して、専門医はだいたい何人必要なのか」という必要数が見えてきます。誰もが日常的にお世話になるわけではない高度な専門領域に、際限なく専門医を増やす必要はない。
そこで国が当時掲げていた考え方の一つが、それぞれの専門医の人数をある程度明確にし、絞るべきところは絞る。そして、その代わりに高度な専門性を持つ医師への報酬を高くしていく。そういう仕組みでした。
しかし、そこで必要になるのが、より幅広い患者さんを最初に診る医師です。つまり、総合内科や総合診療です。
国としては、細分化された専門医ばかりを増やすのではなく、救急や総合診療を担う医師を増やしたかった。そして同時に、病院の数そのものについても整理していこうとしていました。
人口は今後減少していく。であれば、専門医も病院も必要数に合わせて整理し、高度医療機関の数と負担を減らす。その代わり、地域の小さな診療所などで総合内科や総合診療の医師に定期的に診てもらう。そして、本当に必要な時にだけ大きな病院へ紹介してもらう。これが、日本が目指していた一つの医療政策の方向性でした。
日本は人口減少することがもうわかっていたので、この時点で「病院を減らす」「専門医を減らす」準備を始めておりました。
そのモデルは、すでにアメリカにある
じつは、この専門医制度の考え方に近いモデルは、すでにアメリカでかなり明確に存在しています。
アメリカで人気のある診療科としてよく挙げられるのが、整形外科、眼科、耳鼻科、形成外科、皮膚科などです。形成外科には当然、美容外科も含まれます。(アメリカの形成外科は専門医を取るため、日本と違って必ず美容外科を学ばなければなりません。ある意味、そのために形成外科になる医師がほとんどです。)これらの科は、収入面でもライフスタイルの面でも人気が高いため、入るためには非常に厳しい競争があります。
まず、医師免許に関わる試験などで高い成績を取る必要があります。さらに、研修医時代にお世話になった医師から推薦状をもらったり、コネクションを作ったり、研究をしたり、もちろん臨床でもがむしゃらに働いたりする。そうやって、ようやく希望するレジデンシーや、その後のフェローシップのポジションを獲得します。そして、その厳しい競争を勝ち抜いて初めて、その科の専門医への道が開けます。
そもそも、アメリカで医学教育を受けること自体にも、経済的な大きなハードルがあります。
日本とは事情が異なり、アメリカでは私立大学の中に名門校が多くあります。そして医学教育にかかる学費も非常に高額です。つまり、そもそもそこへ進める家庭には、一定の経済力があることも多い。いわゆる「実家が太い」という話です。
日本でも似た部分はあります。実家の援助などで経済的な余裕がある医師の場合、専門医を取るまで大学病院に長く残るという選択肢を取りやすい。一方で、そうではない場合には、給与水準の比較的高い民間病院などで働きながら、そこで専門医を取得できる診療科を選ぶ。そういう現実的な選択をする医師も少なくありません。
人気の科に入れなかった医師はどうなるのか
では、アメリカで人気の高い診療科に入れなかった医師はどうなるのでしょうか?当然、競争の比較的少ない診療科へ進むことになります。その代表として挙げられるのが、救急や総合診療です。
フリークリニックや、働く医療機関によっては、低所得層の患者さんを多く診る環境になることもあります。私は以前、「かなり厳しい世界だ」と聞きました。仕事は非常に大変で、それに対して収入面や生活面では決して恵まれているとは限らない。そして、そこから美容医療へ転科する医師もいるそうです。(あれ?どこかで聞いたことのある話ですね…?)
ただし、アメリカやその他の国々では、美容外科は基本的に形成外科の一部として認識されています。つまり、「美容外科は、形成外科という非常に競争の激しい道を勝ち抜いた医師が行うものだ」という意識が強く存在します。
当然、そこで対立が起きます。
名門大学へ進むために高額な学費を払い、試験で高得点を取り、推薦状を集め、人脈を作り、研究をし、厳しいレジデンシー競争を勝ち抜き、ようやく形成外科医になった。そういう医師からすれば、自分たちが努力して獲得した専門領域を守ろうとするのは、当然です。かなりElitistな考え方ではありますが、制度そのものがそういう競争原理の上に成り立っています。
しかし一方で、アメリカにはもう一つ面白い文化があります。
「結果がすべて」という考え方です。
形成外科出身ではなくても、圧倒的な技術や結果を出し、美容外科医として名を馳せている医師もいます。入口には非常に強い競争原理がある。しかし、最終的には実力で評価される。この二つが同時に存在しているのが、アメリカらしいところだと思います。
日本は「人数」だけを絞ろうとした
さて、アメリカには、良くも悪くもはっきりとした競争原理があります。ところが日本では、その競争原理を十分に取り入れないまま、まず専門医の人数を絞り、制度だけを変えようとしました。しかし実際には、医局や学会との調整も必要です。専門医機構や新専門医制度についても、開始時期が1〜2年遅れるなど、かなり混乱しました。
まさに「ぐだぐだ」でした。私は、そのぐだぐだの時代を医学生、若手医師として見ていて、かなり不安になった世代の一人です。

そして新専門医制度が始まり、確かに一部の領域では専門医の人数をコントロールする方向へ進みました。ところが、ここでいくつもの問題が出てきます。
「職業選択の自由」「働き方改革」そして「コロナによる経済的不安」。
これは、国にとってかなり大きな誤算だったのではないかと私は思っています。
さらに、「専門医になれば、その専門性に見合った高い報酬が得られる」という構図も、少なくとも若手医師が実感できる形では十分には実現しませんでした。
それなら、「そこまでして専門医を取る意味は何なのか」と考える若手医師が増えるのも当然です。
大学病院に残り、長時間働き、研究をし、論文を書き、学会発表をし、何年もかけて専門医を取る。しかし、その先に十分な経済的メリットがあるとは限らない。そうなれば、専門医制度から距離を置く若手医師が増えていきます。
そして、その一部が美容医療や訪問診療、産業医などへ流れています。ある意味では、アメリカと似た結果になってきているのです。
日本とアメリカの決定的な社会の違い
ここで、アメリカと日本とでは、非常に大きな違いがあります。
それは、医療が自由経済の中のサービスなのか、社会保障制度の中の医療なのか
という違いです。
アメリカの医療は、基本的には契約を前提とした自由市場の要素が非常に強いです。医師には「応召義務」というものも存在しませんのでs、見たくない患者様は見なくてもいいのです。(※ 救急部門を持つ病院では、救急患者に対して保険加入や支払い能力に関係なく、医学的スクリーニングを行い、緊急状態なら安定化治療または適切な転送を行う義務があります)
一方、日本の保険医療は社会保障制度の一部です。
公的資金が投入され、公的なルールの中で成り立っています。そのため、いわゆる「応召義務」があります。
(応召義務について、なんでも見ないといけないわけではありません。自分の能力や専門性を超えているなど、正当な事由があれば断れます)
つまり、日本の医療は、「収益性の高い患者さんだけを診ればいい」という制度ではありません。
そこが、アメリカとは大きく違います。
それにもかかわらず、専門医になるまでの負担は大きい。働き方には制限がかかる。専門医になったからといって、必ずしも大きく所得が上がるわけでもない。
そして一方では、美容医療という自由診療の市場が急速に拡大している。こうなれば、若い医師がそちらに流れること自体は、ある意味では自然な流れです。
だから私は、これから美容クリニックはもっと増えると考えています。
特に、参入のハードルが比較的低く見えやすい美容皮膚科領域は、さらに増えていくでしょう。
私の大学の同期で美容に進んだのは私1人でしたが、今は5人います。アルバイトだけやっているという先生も含めたらもっといます。あと何名まで増えていくのか?
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